研究概要 |
本研究ではソフトウェアプロジェクトの混乱状態を回避するために,混乱状態を早期に予測し,その回避策を提示するモニタリングシステムの開発を進めている. 本年度は,開発プロジェクトから収集されたデータの分析に基づいた混乱プロジェクトの早期発見手法についての検討を行った.具体的には,まず混乱プロジェクトを早期に発見するためのリスク分析アンケートを作成した.そして,このアンケートを協力企業の開発現場にて配布,収集し,その結果の統計的分析(ロジスティック回帰分析)を行った.分析の結果,作成したモデルによって実際に混乱したプロジェクトを高い精度で予測できるという結論を得た.この成果は2000年6月にアイルランドで開催された国際会議the 22nd International Conference on Software Engineering(ICSE2000)において発表した. また,本研究で開発を目指すモニタリングシステムの最初のプロトタイプとして,WWWを用いたプロジェクト混乱予測システムを研究室の大学院学生の協力の下に開発した.このシステムでは,上で提案した混乱プロジェクトの早期発見手法を現在進行中のプロジェクトに対して適用することを目的とする.更に,本システムを用いることでアンケートの収集とデータの統計的分析を簡単に行うことができるようになった.現在,このプロトタイプシステムを協力企業内で試験的に運用する方向で協議を行っている. 今後の予定としては,開発者やプロジェクトマネージャからインタビューによって混乱回避のためのノウハウを聞き出し,それを蓄積するデータベースを作成する.引き続き,そのデータベースの知識利用をモデル化した混乱予測システムの開発を考えている.
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