研究概要 |
無線通信を基盤とする対話型仮想環境で,新しい3次元形状の協同創作を可能にするために,以下に示す技術の考案,設計,実現,および評価を行った. 1.協同造形作業に伴う3次元データの高速な配送,更新,および一貫性保証を実現するためのプロトコルを設計・実現した.この時,共有する3次元データの管理と配送は陰関数表現法を基盤に実現することで,膨大な幾何情報を圧縮して配送する従来技術に比べて,数百から数千倍の圧縮効率とデータ転送速度を達成した(西野が担当). 2.1のプロトコルで通知される更新情報から,一定時間でシステムの演算能力に最適な描画品質で最新形状の画像生成を行う,適応型描画法を設計・実装した(宇津宮が担当). 3.協同創作したモデルや3次元スキャナで取得した実物の3次元形状を,その形状特徴で保存・管理・検索が可能なディジタルアーカイブ機能を設計・開発した.また,陶器モデルを題材にして,開発したアーカイブ機能の利用試験を行った(凍田が担当). 4.1のプロトコルを可搬型の衛星やモバイル回線上で利用するために,共有データの損失を防ぐ信頼性と,システムの大規模化に伴う利用者のセッション制御機能が提供できる通信制御機構をTCP/IPプロトコル上に実装した(吉田が担当). 5.1〜4の開発機能を統合化して,大分大学の学内LAN上に実験環境を構築し,陶器モデルの創作を題材にした協同造形実験を行い,考案した新たなシステム構成法の有効性を検証した(西野が担当). 6.以上の研究成果をJRM国際論文誌,情報処理学会論文誌,IEEE他の国際会議にて発表し,研究の中間まとめを行った.特に,2001年1月に別府で開催されたIEEE ICOIN-15では研究成果が高く評価され,PC最優秀論文賞を受賞した.
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