本年度は、前年度に開発したシステムを基盤として用い、複数の計算機に分散された資源の効率的な管理手法や利用手法に関する検討を行った。具体的には、以下の3項目を中心に検討を進め、新しいオペレーティングシステムの構成法としてまとめた。 1.計算機資源の効率的な使用法に関する検討 すべての計算機資源を管理する単一のオペレーティングシステムが、どの計算機の資源をどのプロセスに割り当てるかを適切に決定することによって、効率的に資源を使用することが可能となる。本研究では、CPUを有効に利用するための負荷分散手法、分散されたディスクを効率良く使用するためのファイルシステムなどの検討を行った。 2.アプリケーションの開発とシステムの評価 具体的なアプリケーションを実装し動作させることによって、本システムの評価を行った。特に、CPUやメモリのみならず、ピデオカード、キーボード、マウスなどの周辺デバイスを使用するウインドウシステムを構築した。これによって、周辺デバイスの管理手法に関する妥当性の検証や性能評価も行った。 3.広域分散への適用に関する検討 本システムを広域分散環境(インターネット環境)へ適用するための機能に関する検討を行った。さらに、他のオペレーティングシステム上のプロセスとの通信を可能とするネットワーク機構の設計と実装を行い、システム全体の性能評価も行った。
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