自動推論の研究において幾何推論は重要な分野の一つである。本研究ではKoedingerによる認知科学的な視点から提案されたDCモデルに基づく幾何推論システムの開発を目指し研究を行った。DCモデルは論理的推論を行うモデルでありながら、推論の制御に具体的な図を用いている。人間が幾何の問題を解くとき、図に表れる特徴的なパターンに着目して推論を進めることがあり、DCモデルはこの様子をモデル化したものである。具体的な図形に現われる特徴的な図形パターンの抽出が研究の要点であるが、本研究で考案した「長辺」という新しい概念を用いて、パターン抽出の効率を上げる実験を行った。これまでの方式では、図形記述は点が基本であったため、同一直線上にある点の認識に計算時間が多くかかっていた。基本データとして、同一直線上にある点のまとまりを表す長辺を用いることで、劇的に効率向上を図ることができた。研究室の内部資料は残せたが、残念ながら発表までには至らなかった。
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