研究概要 |
「完全4次元同次処理」(以下A方式と呼ぶ)と「ユークリッド処理」(B方式と呼ぶ)の比較について、直接内外の研究者と面接し、「完全4次元同次処理」の説明を行った後、現在の処理方式すなわち「ユークリッド処理」との比較を議論した。 1.調査対象者:A.Bowyer(University of Bath),E.Cohen(UUniversity of Utah), A.R.Forrest(University of East Anglia), R.R.Patterson(Indiana University), R.F.Riesenfeld(University of Utah)、能野謙介(九州芸工大)、トヨタ自動車 2.調査項目:主として以下の8項目について、議論した。 (1)正確性、(2)頑健性、(3)簡潔性、(4)一般性、(5)統一性、(6)双対性、(7)演算量、(8)メモリー量 3.調査結果 (1)正確性:B方式は除算が必然的に伴うので、厳密な正確さは得られない。しかしA方式では多倍長整数演算と組み合わせると、有理数を扱う限り厳密に正確な幾何表現、演算が可能となる。 (2)頑健性:B方式は、ゼロ割り不安定さがあるのに対し、A方式は除算を用いないのでゼロ割り問題は存在しない。ニュートン法を有理曲線、曲面に適用すると、B方式は原理的にパラメータが発散する要因を有するが、A方式はこの点では完全に安定である。ただし、A方式は除算を行わないため、単純に適用するとデータ長が増大し、オーバフローの危険性を有する。従ってA方式では、同次座標の正規化をしばしば行う必要がある。 (3)簡潔性:B方式は、4次元図形の切断を扱うと考えることができ、それは射影変換に依存し処理がA方式に比べ複雑化する。
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