研究概要 |
ある創作折り紙を長期間にわたって繰り返し折り、1回当たり作業時間の推移を調べている。実験参加者は通算13名である。結果は大筋では「練習の巾乗法則」に従っているが、どの参加者のデータにも法則では予期されていない規則的変動(しばしば当事者には好調時とスランプの、交替する波として認識される)が随伴している。その成因を突き止めるため、本年度は次のことを行なった。 1.前記の実験を3名の参加者について続行した。平成14年1月末日現在参加者PAは2,082日92,065試行、PE1は1,433日59,067試行、PE2は1,495日64,247試行を完了している。PAは、好調時に先立ってしばしば現われる小さいスランプを、またPE2は長期的なスランプを経験しつつある。PE1は好調時に差し掛かっている。PAの今回のスランプは、その生成メカニズムを強く示唆している。 2.前記の規則的変動には、外発的要因によるとおぼしいものも含まれている。そこで統計的手法により、実験結果から外的パラメータに依存する要素を摘出する、という試みを進めている。今年度は前記の3名について(a)各セッション内での試行番号、および(b)作業の曜日に着目した解析を行なった。その結果、3名ともそれぞれにはっきりしたパターンを持ち、ただしその影響は内発的と思われる変動と比べれば小さいことがわかった(発表準備中)。 3.以上のほか、たとえば折り紙の折り色に着目した解析を進めている。色は折り動作への抵抗の大きさに関係し、ひいては作業時間に影響する。
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