研究概要 |
キーボード入力中心のコンピュータシステムが抱えるバリアを克服するために,音声発話によって対話を円滑に進めながら,必要な情報を取得する検索システムの研究開発について研究を行っている.平成14年度は,音声入力による柔軟な情報検索モデルの構築を行った.具体的には,検索対象となる文書コレクション(テキストデータベース)を用いてユーザの発話内容を統計的にモデル化することで,ユーザの発話を高精度で音声認識し,さらに音声認識辞書に登録されていない語が発話されても適切に補完する機能を実現した.また音声入力による検索システムを評価するためのベンチマークデータ(テストコレクション)を構築し,一般利用できる形式で公開した.ここでは,国立情報学研究所が主催するシステム評価ワークショップNTCIRのサブタスクとして音声入力による検索を実行し,システムの評価に用いるテスト用検索質問(発話データ)や音声認識用の言語資源を構築した.さらに,ユーザとの対話を円滑に進めるための基盤技術として,文脈解析における照応解析の計算モデルを提案し,対話やテキストで省略されている格要素を前文脈から探索して補完することを可能にした.検索対象のデータとして,テキストだけでなく講演音声データも含めユーザの要求に応じて長時間の講演を短時間で簡潔に視聴するための検索機能につ唖実現した.
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