研究概要 |
地理情報システム(GIS)においては、図形の位置形状とともに図形同士の相互関係の情報、即ちトポロジー情報が重要である。従来のGISでは、このトポロジーをデータとして記述・管理する方式が主流であった。しかし、過去の世界にさかのぼっての検索のように時間管理を行う際や、分散配置される地理情報を融合して利用する場合などにおいて、トポロジー記述が極めて複雑になったり、記述困難になる状況が生じる。本研究では、このトポロジーをデータとしてではなく、定義の形で記述し、必要に応じてトポロジーを算出する方式、トポロジー暗示方式をベースとする地理情報システムについて研究を行っている。 初年度は、以下の各テーマについて研究を行った。 (1) 明示的なトポロジー記述モデルから、演算により復元可能なもの,およびその際に最低限必要な付加情報について整理することにより、本研究全体を通じて使用するデータフォーマットを制定した。 (2) 空間データ管理構造として、現在多次元データ管理に広く用いられているR木や、申請者が以前に開発したGBD木を用いて、トポロジーの高効率復元アルゴリズムを実現した。 (3) 地理的なトランザクション管理のための構造、分散環境における差分ファイルの提供方式、差分ファイルとデータベースとを併用する空間演算に関する基本方式を確立した。 (4) 空間演算の際に一度復元したトポロジー情報を次の利用の際に再利用する方式、いわばトポロジー情報のキャッシュの為の方式を構築し、実験を通じて約10倍の演算速度向上が達成できることを確認した。
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