本研究ではSTIMSと名づけた時空間情報管理システムを開発している。本年度は昨年度の研究成果を冊子にとりまとめ、6月に発表会を開催しWeb上でシステムを公開した。また、本年度はSTIMSの機能の拡張と性能向上について研究をおこなった。 STIMSは、(1)時空間データ管理を行い得るシステム、(2)良好な操作性の提供、(3)公開型データ構造の採用、(4)フリーソフトとしての配布、を目指して、本研究の初年度(平成12年度)から開発を行ってきたシステムである。(3)としてはSTIM-DFと呼ぶフォーマットを策定し、公開している。上記を実現するために、「トポロジー暗示方式」を採用している。トポロジー暗示方式とは、トポロジーを定義とその復元のための手続きで持つ方式であり、これにより(1)定義の変更で自由な主題を設定できる、(2)異種地図データの融合が容易、(3)時間管理を単純化できる、などの利点が生じる。 今年度は以下の各点に重点を置き研究を行った。 1.空間管理と基礎的な時空間解析機能の充実:昨年度の最短経路探査に加えて、Voronoiダイアグラム、バッファ機能の実現、文字表示、マルチメディアオブジェクト管理・表示などの機能を追加した。 2.DDI研究所で開発されたJaMaPSをクライアントとして、WebGISを実現した:昨年実現したSTIMSはWindows上でのみ動作が可能であったが、これをLinux上でも動作するよう改良した。WebGISサーバの2種類のプラットフォームへの対応が可能になった。 3.属性情報管理を行うDBMSとの連携演算を強化した。 4.トポロジー暗示方式の問題点であった、空間演算時間短縮のためにトポロジー情報のキャッシュ機能を実現し、高速化を図った。
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