本研究では暗示的なトポロジー記述をベースとした地理情報システムにおける、データ構造やアルゴリズムなどの基礎的考察及び、その実応用のシステムの開発を行った。 本年度は、平成12年及び13年度で開発したプロトタイプをベースに、ネットワーク機能の実現、時空間検索機能の強化、トポロジー情報キャッシュの方式の開発による演算時間の大幅な短縮、図形編集機能の強化、属性データベースとの協調、マルチメディアオブジェクトの地図上での管理などの課題について、新しい方式を開発し、それを実際の時空間情報管理システム(STIMS)上に実現した。 併せて、自治体や家庭・教育応用を念頭に置いたシステムの開発を行った。自治体応用では、長崎県の協力を得て森林の地籍(林班)管理システムのプロトタイプを作成した。また家庭・教育応用のシステムとしてはディジタル写真などのマルチメディアオブジェクトを地図上に関連付けて、かつ時系列情報で管理できるシステムの開発を民間企業と共同で行った。更に、日本地図センター発行のディジタル地図(JMCマップ)、数値地図2500、国土空間データ基盤数値地図25000などのディジタル地図をSTIMS上にインポートする変換プログラムを開発した。 本研究で開発したシステムを、埼玉大学のWebサイトにおいてフリーソフトとして公開してきた。平成13年6月に初期バージョン(STIMS1.0β)を公開し、平成14年6月には次バージョン(STIMS1.0)を公開した。更に、完成度の高いシステムを平成15年6月を目途に公開する準備を進めている。
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