本研究では、暗示的なトポロジー記述をベースとする地理情報システム(GIS)に関して研究を行った。暗示的なトポロジー記述によるGISは、(1)時空間管理に適している、(2)差分ファイルによるデータ更新が容易である、(3)分散配置された地図データを融合して空間演算を行うことが容易である、などの特徴を持つ方式である。 平成12年度は、暗示的なトポロジー記述によるGISに関する基礎研究を行った。その成果を元に、STIMS(Spatio-Temporal Information Management System)と名づけたソフトウエアのプロトタイプを構築し、埼玉大学のWeb上でフリーソフトとして公開した。 平成13年度は、トポロジー暗示型の欠点である処理速度向上に関する研究を行った。空間演算により、一度復元したトポロジー情報をキャッシュしておくことにより、次にそのトポロジー情報が必要になった際に高速に利用できる方式に関して研究を行った。また、STIMSに関してはシステムのコンポーネント化を進め、Delphiを用いて独自のGISシステムを容易に構築可能とした。 平成14年度は、(株)電源開発、(株)昭文社、(株)明電舎の協力を得て、各種自治体業務にSTIMSを適用し、トポロジー暗示型GISが実用に耐えることを実証した。また、ディジタルフォトアルバムなどの家庭応用アプリケーションも開発し、それらをフリーソフトとして公開した。
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