研究概要 |
今年度は,昨年度までの研究成果により作成した尺八譜情報処理システムの実用化に向けた性能評価を主として行った.まず,本システムの使用を希望する尺八演奏家や尺八愛好家を対象として試作システムの頒布を行った.さらに,システムのデモンストレーションを東京国際尺八サミット(東京)および産業メッセ(幕張)で行い,機能および操作性に関して意見を収集した.その結果,実際に尺八の演奏等の経験がある人達からは,尺八譜の作成が容易である,尺八の独習や修得に有効である,五線譜化できるため尺八の国際化や学校教育現場での活用に効果的である,等,システムの設計思想および性能に関しては非常に高い評価を得ることができ,一日も早く実用化して欲しいとの要望が数多く寄せられた. その一方で,音価の表示が通常の尺八譜と異なっている点を改良するべきである,筝や三味線との合奏譜も扱えた方が便利である,演奏に合わせて自動譜めくりをする機能が欲しい,といった更なる性能の向上を求める要望も寄せられ,本システムに対する期待が大きいことが分かった. これらの結果を踏まえ,アマチュアの尺八演奏にとって有用と思われる自動譜めくり機能の実装を試みた.マイクから入力した尺八音の周波数分析を行い,演奏箇所の予測を行って演奏位置を楽譜上に順次提示することが可能なため,実際の演奏時に電子楽譜として使用することが出来る. このように,様々な機能を備えた尺八譜情報処理システムを構築することができたため,今後は実用システムとして商品化することを目標に研究を進めていく予定である.
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