研究概要 |
本研究は2年間にわたり大きくわけて次の2つの方向から行っている。一つは移動通信を対象に、様々な基地局配置パターンに対する性能評価シミュレーションの作成、シミュレーションを用いた基地局配置政策の比較検討である。特に山形市を中心とする地域を前提に、具体的なユーザ分布として昼夜間のユーザの移動や平均利用時間の違い、などを用いてPHSや携帯電話の基地局がカバーするセルサイズとユーザの通話中の切断率、呼損などの評価を行い、セルの配置、サイズとQoSとの関係について調べた。平成12年度はシミュレーションの設計、作成およびユーザ人口の分布についての基礎的なデータを収集にあて、平成13年度では第3世代移動通信を前提としたモデルへの拡張に力をいれ,様々なセルサイズをもつ基地局を階層的に配置した場合の性能評価を行った。その結果セルサイズの小さい場合、ユーザ密度の高い地域から優先的に配置することのメリットや夜間人口分布をもとに、比較的大きなセルで地域全体をカバーしながら、密度の高い地域をより細かくセルでカバーする設置方策の効果が明らかになった。しかし、移動する車両や列車、あるいは野球場のような特定の場所への集中にも対応できる柔軟性の高い配置方法・データ通信など異なる種別のサービスが混在するようなケースへの対応できる有効な配置策は、さまざまな配置策を検討した。シミュレーションをさらに様々な地域について実行した。また、もう一方の方向として、ATMなどの高速ネットワークのよりインテリジェントな制御についての研究も進めた。こちらにおいては、平成12年度はファジー・ポリシングによる経路制御法の提案とそのシミュレーションによる評価、平成13年度はファジー理論を応用したアドミッションコントロールの提案と評価、さらに分散ネットワークアキテクチャでの人工知能的なアプローチによるアドミッションコントロール法の提案と評価を行っている。その結果、ファジー理論による経路制御が従来の方法に比較しセルレートやスループットなどにおいて優れ、提案された方法によるネットワーク容量の評価と精度を確認した。こちらもより高速でインテリジェントな中継ネットワーク制御のために、エージェントを用いたトラヒック制御システムへの拡張、その性能の実証を今後行っていきたいと考えている。
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