研究概要 |
本研究では,迷惑施設配置モデルを構築し,理論的に分析を加えることである。得られた成果は少なくとも以下の3点である。 第一に、迷惑施設配置を多目的計画法として定式化し,迷惑施設の配置場所候補となる,パレート最適集合やトレードオフ曲線の導出方法を示す.楕円距離マクシミニ型レクティリニアー距離ミニサム型モデル、レクティリニア距離ミニサム型マクシミニ型モデル、レクティリニア距離ミニマックス型マクシミニ型モデルなどを解く一般的解法を提示した。さらに、移転を考慮した場合、k次距離ボロノイ図を利用して有効集合やトレードオフ曲線を解析的に導けることを明らかにした。 第二に、分枝限定法を利用した数値解法を用いて、より一般的な状況の下での、ミニマックス距離制約やマクシミニ距離制約での配置場所を数値的に求め、パレート最適集合を近似する方法を示した。茨城県、山形県の人口分布を事例対象とした。 第三に、旧厚生省から各都道府県に対しごみ処理圏域広域化促進の指導があった。広域化はごみ焼却から発生するダイオキシン類を大幅に減少させるが、一方でごみ収集車からの排気ガスを増加させる。そこで、このトレードオフ関係に着目し、ダイオキシン類及び排気ガスをともに減少させる広域化計画を数理計画法により求め、現在の茨城県案を評価した。ダイオキシン類発生量を基準値及びごみ発生予測値から求め、排気ガス量を茨城県内のごみ収集車走行実距離と道路網距離から推定した。そして、茨城県案よりパレート最適の点で優れた多くの代替案を提示した。さらに、広域化計画にて、現存の市町村間ごみ処理協力関係への配慮がどの程度足かせになるのかをも数値的に示した。
|