研究概要 |
本研究は、大規模な数理計画問題を効率よく解くアルゴリズムを開発し、その理論的な性質と実用性を明らかにすることを目的としている. 平成11年度から研究を開始し2年目にあたる今年度には,係数行列に特殊な構造を持つ大規模な最適化問題に対するアルゴリズムの研究を行った。特に、多期間の確率計画問題から派生する線形計画問題を効率よく解くアルゴリズムについて研究した。この問題は、期間の数あるいはシナリオの数が増えると、変数の数が非常に大きくなるが、係数行列の右上部分がゼロ行列という特徴を持つ。したがって、問題を直接解くのは難しいが、問題の特徴を利用して、変数の一部を固定した子問題を生成することにより、より小さな問題を解くことに帰着できることを示した。さらに、生成された子問題も元の問題と同様な特徴を持つために、同様のテクニックを再帰的に使うことが可能であることを明らかにした。この結果、大規模な多期間の確率計画問題を効率的に解くアルゴリズムを開発することができた。 また、大規模な線形計画問題あるいは非線形計画問題を同次形のシステムに変換し解く方法について研究した。このように変換をほどこして内点法を適用すると、実行可能とは限らない初期点を使うことが可能なため、簡単に初期点を求めることが可能となる。このアプローチには、最適化問題に変換する方法と、目的関数のない非線形方程式系に変換する方法があり、それらのアプローチの関係も明らかにした。
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