研究概要 |
本研究では、組織における情報の分散共有の状況をハイパーゲームの枠組みで記述し、そのゲームを繰り返すことで各構成員の持つ解釈枠組を「進化的に」学習していく過程を遺伝的アルゴリズムにより分析し、組織における知識創造との関係を解明することを目的に,今年度は以下のような研究を行った。 1.ネットワーク型意思決定を扱える、ネットワーク型で動的な一般ハイパーゲームを定式化し遺伝的アルゴリズムによりシミュレーション実験した。特に,各エージェント集団が独立に同時に序京認知を学習する実験と,エージェントの意思決定時の戦略変数の学習の実験とを行い,認知の学習の過程を分析した。 2.組織の学習、とくに内部モデルの学習の「メカニズム」を記述するモデルの本質的中心は進化概念であると考え、組織が進化的学習を行うための自律的意思決定主体間のコミュニケーションに焦点を当てた研究を行った。そのために学習のレベルを考慮した分配の基本モデルを提示し,そこにおけるダブルループ学習の意味を考察した。また実際にダブルループ学習が可能となる条件を遺伝的アルゴリズムによるシミュレーションにより考察した。 3.エージェントベースモデリングにおける理論的アプローチの役割と課題を数理的システム理論の立場から考察した。また,組織論におけるシステムアプローチに一つとしてのエージェントベースモデリングの位置付けを考察した。 4.以上のような成果を学会等において積極的に発表した。
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