研究概要 |
本年度行った研究は次のとおりである. まず,希望実現型時間割作成法のコンセプトの確立を中心に研究を行った.まず,希望を取り入れることが本質的に重要な問題と,可能であれば取り入れる必要があるような,むしろ制約充足をより重要な問題とする問題とに分類して考えた.それぞれのカテゴリーの問題に対して,遺伝的アルゴリズムを用いるためのエンコーディングを提案した.その1つは,割り当てられるオブジェクトを,希望をベースに割り当てる再の割り当てる順番をコード化するもの,もう1つは,時間割そのものを3次元遺伝子コードとして扱い,その中での遺伝的オペレーションを考案した.このような,多数の時間割候補を並列的にシステムの中に抱えてそれらの組み合わせによる進化により優れた時間割を作成するということそのものは,問題の規模が大きくなると,計算量が非常に大きくなるため,たとえば,学科程度の大きさの時間割を作ることに限定せざるを得ないが,一般的に複数の学科や学部の時間割を同時に作ることは大きな困難が伴うであろうことを考慮すれば,あえて全学的なシステムを目指さず,学科単位でこのような手法を用いることの方が優れているともいえよう. 次に,学会などの時間割を作成する問題を取り上げて考えた.これは,類似のテーマの発表を同じセッションに入れるということと,発表者が複数の論文を発表する場合や司会を兼ねる場合に,同じ時間帯に別のセッションでの講演とならないことがハード制約であり,ソフト制約は多数考えられる.こうしたグルーピングに属する時間割問題では通常の遺伝的アルゴリズムが必ずしも有効に働かないため,グルーピング遺伝的アルゴリズムという概念を取り入れることにより,効率的に遺伝的アルゴリズムでの時間割作成ができるような手法を現在研究中である.
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