研究概要 |
昨年度からのヒアリング調査を継続し,今年度より次の3つの問題に着手し,それぞれの問題に対する数理モデルの構築を試みた.ひとつは小売業の店舗では定期的に棚卸しを行っているが,その経費は決して小さくなく,適切な棚卸しの頻度を求めるという問題.2番目に,店舗の販売促進の一環として実施されるバーゲンセールなど特別展示商品の在庫管理に関する問題である.最後に,小売店舗において地域性を考慮すれば,店舗毎に売れ筋商品が異なる可能性が十分にあるという発想から,各店舗レベルで如何にして短期間で売れ筋商品を検出するかという問題である. 1番目の棚卸し頻度に関する問題に対しては2種類の数理モデルを構築し,ヒアリング調査結果に基づいてモデルの有効性について検討を行った.2番目の問題に対しては,特別展示商品は展示されている量が多いほどよく売れ,展示量が少なくなるとそれほど売れなくなるという経験則を微分方程式を用いて表現し,利益を最大にするような最適発注量を求めるための数理モデルを構築した.得られた結果の妥当性は,これもヒアリング調査に基づいて検証した.最後の売れ筋商品検出問題(広義には品揃え問題)に対しても同様ひとつの数理モデルを構築し,研究代表,分担者の所属する大学に設置されているコンビニエンスストアからのデータを用いて,モデルの有効性について検討し,死に筋商品の検出に有効であることを示した.
|