研究概要 |
本研究は,一般化半無限計画問題に対する効率的な(すなわち大域的収束性および優れた局所的収束性を持つ)数値解法の開発を主目的とし,そのために必要な範囲で一般化半無限計画問題の最適性条件の解析および双対理論の構築を行う.最終的には,開発した算法に基づく汎用ソフトウェアパッケージの開発を行うことを目的とする. 本年度は,まず一般化半無限計画の局所的最適性条件の解析および双対理論等の理論的解析に重点をおいた.半無限計画問題の決定変数は有限次元であるが,双対変数は一般に符号つきボレル測度として表現される無限次元ベクトルとなる.そのため,本研究では関数解析的な手法を用いて無限次元最適化理論の立場から,局所的最適性条件の解析および双対理論の構築を行なっている.これらの結果については現在論文としてまとめているところである. また,本研究で開発する予定のほとんどの数値解法は,離散化あるいは切除平面に基づく緩和法系統の算法と局所縮約に基づく算法を組み含わせたハイブリッド型の2段階解法であるが,本年度は特に下位問題の制約条件がノンパラメトリックな場合について考察し数値実験を行なった.これらの結果および関連するトピックについては,4編の共著論文(うち3編は外国誌に掲載予定)にまとめ,国際学会で2件の口頭発表を行なった.この他,産業への実際の応用として,電気通信分野における信号処理に頻出する線形min-max問題への応用について考察し,これについては,来年度の国際学会で発表する準備を進めているところである.
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