研究概要 |
1 地すべり危険箇所評価手法 ネパール低ヒマラヤ帯東部において、空中写真判読による地すべり地形の分布と地質,地質構造(受け盤,流れ盤)およびそれらごとの分布下限斜面勾配を調べた。その結果、黒雲母片岩,眼球片麻岩および千枚岩の流れ盤斜面では15度以上で地すべりが発生していることがわかり、これをもとに地質と斜面勾配から地すべり発生危険度評価ができる。 2 河岸侵食対策計画のための調査手法 亜ヒマラヤ帯において、1964〜2003年の空中写真と衛星画像のオルソ化による、流域の土地被覆変化と河道変遷の関係を調査した。その結果、1964-78年に20%もの森林面積減少が生じ、それに伴って丘陵域と段丘形成域で河岸侵食により山麓平野域で洪水土砂氾濫と河岸侵食により、最大で28年間で2倍の河道面積に拡大していた。以上から、近年の亜ヒマラヤ帯開発の河道変化への影響は大きいことがわかった。ネパールでは、空中写真・衛星画像による経年的な河道変化調査が可能で、その活用が河岸侵食対策箇所と工法選定に有効である。 3 土壌浸食対策計画手法 1994年1月から2004年1月までのガリー侵食速さの推移を1995〜1999年に実施された侵食対策工法別に比較した。その結果、タケ植栽,谷止工によるガリー底侵食防止の結果、期間降水量が多いにもかかわらず、施工後の方がかなり侵食量の減少していることがわかった。また、ラテライト斜面では、ガリー冠頭部の植栽によるクラック発生防止も効果的である。工法の選択には、対象箇所の地形発達と住民収入創出などの視点の調査が重要である。
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