研究概要 |
中国地方西部地域において,地質断層の再活動メカニズムを解明し,地震危険度を評価するため、以下の現地調査やデータ解析を実施した。 1.断層調査と分布図の作成 ランドサット画像と空中写真判読を行ない,中国地方西部に卓越するリニアメントと山間盆地の正確な位置を確認した.さらに,リニアメントに沿った地域で現地調査を行ない,断層露頭を数カ所で確認した。確認された断層露頭の詳細なスケッチを作成するとともに、断層岩試料を採取した。地質断層と山間盆地について,5万分の1の分布図を作成した. 2.断層岩組織と盆地堆積物の解析 確認された断層露頭での詳細な観察と,複合面構造などの運動学的な指標を用いて断層の運動方向を決定するとともに,断層岩試料の微細構造を観察し,運動学的指標や構成鉱物の破壊様式に関するデータを得た.また、現地調査により,山間盆地堆積物の層相を調査し,断層運動と堆積作用や堆積環境との関連性の解明を目ざしている. 3.地下構造解析と応力変化解析 重力異常や微小地震データなどを解析し,地殻構造を把握するとともに,ブロック断層モデルに基づき,クーロン破壊関数(CCF)を使って,個々の地質断層について再活動の可能性を検討した. 4.海外共同研究者との共同研究 Franche-Comte大学のO.Fabbri助教授(構造地質学)を11月中旬〜12月末まで招へいし,共同して断層露頭の現地調査を行なうとともに,断層滑りベクトルから中国地方の広域応力場の復元を試みた.さらに、断層運動とプル-アパートベーズンの関係について調べ、NE-SW方向に沿って発達する山間盆地がプル-アパートベーズンである可能性を指摘した。
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