研究概要 |
中国地方西部地域を対象として,地質断層の再活動メカニズムと地震危険度を評価するため,以下の現地調査やデータ解析および2001年に発生した芸予地震の被害調査を実施した. 1.断層調査と分布図の作成 前年度に引き続き,ランドサット画像と空中写真判読を行ない,中国地方西部に卓越するリニアメントと山間盆地の正確な位置を確認した.リニアメントに沿った地域で現地調査を行ない,断層露頭を確認するとともに,河成段丘の標高を調べた.確認された断層露頭の詳細なスケッチを作成するとともに,断層岩試料を採取した.地質断層とリニアメントの分布を5万分の1の地形図に記入した. 2.断層岩組織と盆地堆積物の解析 弥畝山西断層と大原湖断層,下郷断層を対象として,確認された断層露頭で複合面構造などの運動学的な指標を解析し,断層の運動方向を決定するとともに,断層岩試料の微細構造を観察し,構成鉱物の破壊様式に関するデータを得た.現地調査で確認された河成堆積物に挟まれる火山灰やピートおよび青野山火山岩年代測定を行ない,断層運動や火山活動の時期的な関係の解明を目指している. 3.地下構造解析 島根県西部〜山口県中部へ伸びるNE-SW方向のリニアメントに沿った重力異常や微小地震活動に関するデータを解析し,地殻構造を把握するとともに,地形・地質的な特徴と地震活動との関連性を把握した. 4.地震災害調査 芸予地震の主震と余震分布から,震源断層の特徴を把握するとともに,山口県内での家屋や道路の被害に関して現地調査を実施した.さらに,家屋被害の発生した市町村ごとに家屋被害率を計算し,被害率の分布図を作成した.
|