研究概要 |
内陸地震に誘発される山間盆地での地盤災害を軽減するため,中国地方西部に分布する北東-南西方向の弥畝山西-大原湖断層系を対象として、断層系を構成する活断層および地質断層の地震危険度を評価することにより、以下の成果を得た。 1.断層系を構成する活断層と地質断層のすべてを対象として,地形判読と現地調査を行ない、カタクレーサイト帯や断層ガウジ帯の性状と平面分布を正確に把握し,詳しい地質断層と断層岩類の分布図を作成した。断層岩の微視的な観察結果を組み合わせ,運動学的指標や構成鉱物の破壊様式を調べ,個々の断層の運動方向や形成深度を解明し、弥畝山西-大原湖断層系を構成する断層は、鮮新世中期以前には左横ずれのセンスで活動し、その後右横ずれセンスとして活動したことが指摘される. 2.断層系に沿って分布する山間盆地と断層との位置的な関連性を調査するとともに、盆地を構成する堆積物の性質を把握し、断層地盤の分類基準を作成し、断層地盤の被害予測を行なった。 3.既存の微小地震や重力異常など地球物理学的なデータをコンパイルし,3次元的な複合断層系の形態を復元した.最新のGPS(全地球測位システム)による測地データを積極的に活用し,断層岩を手がかりとして得られた運動方向や応力場と対比し、北東-南西方向の断層は現在の応力場では、右横ずれセンスで活動することを明らかにした.さらに,複合断層系モデルを構築し,クーロン破壊関数(CCF)を使って,複合断層系を構成する個々の断層に伴う応力変化を計算しすることにより、弥畝山西-大原湖地震危険度を予測した.
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