研究課題/領域番号 |
12680471
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
プラズマ理工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平田 孝道 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80260420)
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研究分担者 |
金子 俊郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30312599)
畠山 力三 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00108474)
大原 渡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80312601)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | Na-C_<60>プラズマ / 原子内包フラーレン / 直流バイアス電圧制御法 / 径方向分割型電極 / プラズマ中イオンの制御・分離 / プラズマクロマトグラフィ |
研究概要 |
Na^+とC_<60>^-から成るNa-C_<60>プラズマによる成膜および昇華による分離実験において、多量のNa内包フラーレンNa@C_<60>を含む膜が堆積する領域は局所的であり、現在使用している成膜基板では1度の実験における回収量が少ないという欠点があった。そこで、回収量を増やすために表面積が広い同心円状に4分割された円環型電極(基板)を用いて、直流バイアス電圧制御によるNa@C_<60>の多量形成・回収を目的とした成膜実験を行った。 1)中心電極に正バイアス電圧を印加した場合、中心領域に存在する残留電子は電極に吸収されて極端に減少するが、プラズマは準中性状態を保持するために周辺に存在するC_<60>^-イオンを中心領域に集中させる現象が観測された。よって、従来の成膜基板による大気中に曝した複数回の回収行程を行うよりも、1度の成膜実験によってNa@C_<60>の高効率形成と大量回収が可能であることが判明した。 2)1)の現象により、中心領域における正及び負イオン密度(特にC_<60>^-イオン)の増加による更なる両イオン間相互作用の促進により、C_<60>に対するNa@C_<60>の形成率は従来の横導入型電極の場合に比べて4〜5倍に増加する結果が得られた。 3)Na@C_<60>が昇華性を示すことは、透過型電子顕微鏡による直接観察から判明している。したがって、低温度加熱による薄膜中に混入したNa並びに酸化物の除去を行った後に、フラーレンの種類によって異なる昇華温度の差を利用した精密な温度制御をすることにより、純度の高いNa@C_<60>膜の形成が可能であることを実験によって実証した。 以上の結果から、プラズマクロマトグラフィーによるNa@C_<60>の高効率かつ多量回収は、超高真空装置内でオーブンを加熱・昇華させたフラーレンのイオン化による分離よりも、プラズマ中に導入した同心円状分割型電極によるバイアス電圧制御法が非常に有効な手法であることが実証された。
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