研究概要 |
前年度から引き続き検討してきた周期的に固体プラズマを挿入した線路の伝搬特性に関しては、125μm厚のスチレン平板に、断面が35μm角のn-InSbの棒状試料を20本挿入した構造を用いて,526GHzにおいて初めてサブミリ波帯での実験を行った。結果はTMモードの伝搬についてのFDTD解析の結果と良い一致が得られ、実際にサブミリ波帯フィルターの特性が得られることが実験的にも明らかとなった。さらにp-InSb表面波線路中にn型領域を構成した構造についての詳細な解析も行った。これらの結果は、現在論文に取りまとめ中であり,また15年度に開かれるサブミリ波に関する国際会議で発表すべく温度などのパラメーターを変えてさらに実験を続けている。この研究はほぼ最終段階に達したと考えており、将来は別途検討を続けているp-InSb表面波線路との組み合わせ実験を考える。 次に、同様の周期構造からのミリ波及びサブミリ波の輻射検討を開始し、その大きさと方向が印加横磁界に依存して変化することを理論的実験的に明らかにした。また横磁界中の固体プラズマの周期構造にサブミリ波帯の平面波が斜め入射した場合の反射波の振舞いについて検討を開始した。これらの構造はサブミリ波帯のアンテナやモード変換器としての利用と共に分波器や非可逆素子への応用が可能であると思われるので、今後さらに検討を続ける予定である。 TEモードを伝えるミリ波帯イメージ線路の表面に磁化されたInSbの薄板を置いた構造に生ずる電力分布の偏りについては、526GHzおよび671GHzのサブミリ波帯での実験を行い、解析結果との比較を続けている。またレーザーを用いたInSbのpn接合の作成については、接合作成時の試料表面の条件を検討することにより従来の結果に比べてさらに優れた特性を得たので、将来上記のp-InSb表面波線路との組み合わせの可能性を検討する。 さらに、並行して進めている実験データの質の向上を目指すシュタルク効果を利用したサブミリ波レーザーの安定化については、従来の結果よりも格段に長時間にわたって安定化できることが実験的に明らかとなったので、現在引き続き実用的な装置を構築している。
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