我々は、超流動液体ヘリウム中に一対の電子顕微鏡用タンクステン針電極(先端曲率50ミクロン)を0.3mm隔てて対向させた。これにパルス高電圧(20kV、0.5マイクロ秒)を加えて、電流200Aの放電を行わせた。アフターグロー期間中に発光するヘリウム中性線スペクトルの時間・空間分解計測を行った。587.6nmのシュタルク幅を測定して、密度10^<18>cm^<-3>以下の極低温プラズマを観測した。本研究は、2年間の予定でこの極低温プラズマのカスプ及びミラ磁場による閉じ込め特性を調べるのが目的である。 これまでに、閉じ込め用の超電導磁場コイルを古河電工に製作してもらい、冷却試験と測定を行った。一対のソレノイド・コイルからなるスプリット形であって、つなぎ変えによりカスプまたはミラ磁場配位となる。定格は、コイル電流30A、量大強度2.5テスラであり、コイル外径68ミリ、内径20ミリ、コイル全長さ138mmである。量終年度である平成13年度には、磁界中でパルス放電を行わせ、極低温プラズマに対する磁場閉じ込めの効果を検出する実験を行った。発生するプラズマは瞬間的に約10気圧になっており、それに対する磁気圧25気圧の効果を調べた。超電導磁場コイルをデュワ瓶中に設置して加圧超流動液体ヘリウムで満たした。その結果、次のような事が分かった。(1)使用した直流電源において、クエンチング発生時の超電導磁場コイル防護回路が不十分であったため、電流を10Aまでしか流せず、定格の30Aに達しなかった。(2)使用したデュワ瓶が手持ちのもので、深さ540センチであった。磁場コイルを沈めると貯留出来る液体ヘリウムの分量が不足であって、深さを15センチ程度増したデュワ瓶を新たに製作する必要がある、(3)貯留した液体ヘリウムの液面を肉眼で確認していたが、不正確であるので超電導線による液面計を設ける必要がある。以上の3点を改善した上で、再実験が必要である。
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