研究概要 |
我々は、超流動液体ヘリウム中に2テスラの超電導コイルを置き、タンクステン針電極を対向させ、高電圧パルス放電により出来た減衰プラズマの密度変化を測って、磁場閉じ込めの効果を調べた。超電導コイルは、スプリット型コイルで、寸法は、内径φ20mm、全長150mmで、インダクタンス447mHx2である。発生磁界は、ミラー接続の場合、最大磁場2.2T、カスプ接続の場合、最大磁場は2Tである。励磁電源はレンタル、クエンチング検出回路、磁場強度測定回路は自作した。タングステン針電極一対を、軸を共通にして間隔0.3mmで対向させ、電圧20kV、電流50A、時間幅1マイクロ秒の高電圧パルスを印加して超流動液体ヘリウム中で放電させた。分光器と時間分解スペクトル測定装置を用いて、波長587.6nmのヘリウム中性線スペクトルのシュタルク広がりを記録し、プラズマ密度の時間変化を測定した。放電後0.5μsにおいて、中心密度10^<18>cm^<-3>、電子温度32,000Kであった。3.0μsまでの期間に、プラズマ圧力と磁気圧の比で定義されるベータ値βは0.28から0.014まで変わると考えられる。ミラー磁場配位とカスプ磁場配位の両者について、磁場のある場合とない場合について上記の測定を行った。驚くべきことに、中心密度の時間変化は磁場の有無によらず、完全に一致した。温度を2Kまで下げたが、結果は変わらなかった。密度の測定精度に問題はないと考えられる。また、測定時間中にベータ値β<<1であるので、磁場の影響がないという結果は予想外である。分光器を使うのを止めて、全光強度を放電後18msまで測定したが、磁場の有無によって変化はなかった。なぜ磁場の効果がないか、その理由については現在のところ不明である。今後検討が必要である。
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