天体ダイナモとしての重力収縮降着円盤と活動銀河からの電波ジェット発生のMHI

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12680483
• 研究機関: 東京理科大学
• 研究代表者: 内田 豊 東京理科大学, 理学部・物理学科, 教授 (90012814)
• 研究分担者: CAMERON Robert 東京理科大学, 理学部・物理学科, 日本学術振興会外国人研究員 ; 廣瀬 重信 東京理科大学, 理学部・物理学科, 助手 (90266924)
• キーワード: 活動銀河核 / 電波ジェット / 降着円盤 / 電磁流体力学 / ダイナモ効果

研究概要

本研究は近年の電波天文学、X線天文学の対象となっている宇宙の活動天体の大量なエネルギーの効率良い発生には、角運動量を持つガスの重力収縮過程において磁場が角運動量の抜き去りを通して重要な役割を果たしているという我々が1985年以来主唱して来たメカニズムを、活動銀河核から逆2方向に放出され1Mpcという大きな距離まで到達しているいわゆる電波ジェットの形成の問題に適用し、非線形プロセスを扱うためにはそれまで行われていた不自然な近似を用いないで問題を扱う事が大切であるという認識の下に我々が発展させて来た電磁流体シミュレーションのアプローチによってこれを扱った。これにより、電波ジェットの特徴的ウイグル構造、電波ローブ、ホットスポットなどが、中心核で発生し、ジェット構造を作りつつ伝播する大振幅捻れアルフヴェン波が伝播条件によって作り出すものとしてうまく説明がつく事を示す事が出来た。これは空間分解が出来ない中心核におけるエネルギー発生が、捻れアルフヴェン波発生と密接に結びついたものである事を明確化するものであり、また、これが我々が他方で国立天文台と共同で行っているジェットからの電波の偏波観測から導出される投影磁場の方向、Faraday回転測度の分布、などの観測的結果をうまく説明出来る事から、この活動銀河核電波ジェットの問題の解明への大きな手掛かりを与える事が出来たと考えている。

研究成果

• [文献書誌] Y.Uchida,S.Hirose,M.Nakamura,T.Miyagashi,S.Uemura,and T.Kobayashi: "Astrophysical Jets Treated as Experiment in the Cyber Space Laboratory"Progress Theor.Phys. Suppl.138. 638-641 (2000)
• [文献書誌] Y.Uchida,M.Nakamura,T.Miyagashi,and S.Hirose: "Interaction of Gravitationally Contracting Gas Having Angular Momentum, with Magnetic Field, and the Acceleration and Collimation of Astrophysical Jets"IAU Symposium. Vol.195. 213-222 (2000)
• [文献書誌] Y.Uchida: "Does the Magnetodynamic Model for the Formation of AGN Jets Survive New Findings of High Energy Phenomena near the Central Objects?"IAU Symposium. Vol.195. 473 (2000)
• [文献書誌] D.L.Meier,S.Koide,and Y.Uchida: "Magnetohydrodynamic Production of Relativistic Jets"Science. 291. 84-92 (2000)
• [文献書誌] Y.Uchida,T.Miyagoshi,T.Yabiku,S.Cable,and S.Hirose: "Dynamic Current Injection into Magnetic Loops in Active Region"Publ.Astron.Soc.Japan. (in press). (2001)
• [文献書誌] M.Nakamura,Y.Uchida,and S.Hirose: "Production of Wiggled Structure of AGN Radio Jets in the Sweeping magnetic Twist Mechanism"New Astronomy. (in press). (2001)