プラズマ中に多極渦を励起し、その特性を調べた。多極渦は動作圧力と磁場強度に最も敏感で、特に磁場を変化させると、2つの密度ピークを持つものから、複数のピークを持つもへと変化していく。その際、ランダムなピーク分布を示すのではなく、中心軸に対して180度回転対称性は保存されている事がわかった。これらの多極渦の渦度場を求めるために、2次元可動方向性プローブを用いて、磁場に垂直な断面上の速度ベクトル場を測定した。 方向性プローブは、プローブの一部分だけをイオンコレクター電極にした非対称ラングミュアープローブで、180度異なる向きのイオン電流の差から、プラズマ(イオン流)の速度を測定するものである。従来、方向性プローブは、磁場の影響を受けるため、磁場に垂直な流れは測定できないとされて来たが、我々は対称性に基づくきわめて一般的な議論によって、磁場の影響を完全に相殺出来ることを提案し、またExB流れを用いてその実験的検証を行った。 2次元可動方向性プローブを用いた測定の結果、2つのピークを持つ多極渦は当初考えられていた双極渦ではなく、2つのピークの間に極性が反対の回転を伴う3極構造(即ち3極渦)であることが明らかになった。また、渦度の大きさでは、中心部の渦のほうが他の2つの渦より大きいことも分かった。3極渦は中性流体や、海洋などでその存在が確認されており、きわめて安定な渦構造である。今回、プラズマにおいて初めて3極渦構造が見つかったことになる。これらの成果は、国際土岐会議(ITC11)および2000年プラズマ物理国際会議(ICPP2000)においで発表を行った。
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