磁場閉じ込め型核融合炉の建設・保守の大きな障害となっている超伝導マグネットをモジュール化するために不可欠となる超伝導線材の直接接合手法の研究を進めるために、高性能電源と製作した試験部からなる実験装置を組み立て、超伝導接合に関する基礎的性能評価試験を実施した。用いた超伝導線材は、ビスマス系高温超伝導線で、臨界電流密度が42MA/m2のものである。接合面は、超伝導線材を重ね被覆材同士が接合する場合と、直接切断面を接合する場合についての電気抵抗値を比較検討した。また、電磁力を模擬するために機械的負荷を与え、負荷の大きさを変え、応力をパラメータとして実験を進めた。その結果、約5mm程度の重ね合わせにより、銅と同程度の電気抵抗値になること、応力を増加させると電気抵抗値は減少するが、漸近値が存在することが明らかとなった。さらに、直接、超伝導テープ断面を接合した場合には、重ね合わせと同程度の性能がでることが明らかとなり、直接接合の可能性が示された。ただし、接合断面での応力などの条件の詳細については今後検討をすすめる予定である。 また、解析による基礎評価のための超伝導体中の磁場・温度場を連成させ、有限要素法を用いた解析コードの整備を行った。特に、高温超伝導線材がテープ状(幅3.8mm、厚さ0.25mm)となっているため、超伝導体内部の電流分布を擬3次元的解析から得られた結果に基づき、2次元解析に反映させる方法の検討を行った。
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