平成12年度より・磁場閉じ込め型核融合炉の建設・保守の大きな障害となっている超伝導マグネットをモジュール化するために不可欠となる超伝導線材の直接接合手法の研究を進めるために、高性能電源と製作した試験部からなる実験装置を組み立て、超伝導接合に関する基礎的性能評価試験を実施した。用いた超伝導線材は、ビスマス系高温超伝導線で、臨界電流密度が42MA/m^2(断面約4cm×0.25mm、臨界電流値67A)のものである。昨年度の研究で得られた実験結果(超伝導線の切断面を機械的圧縮力によって直接接合する場合についての電気抵抗値が300μΩ)を踏まえ、抵抗値の低減を目的として、接合面の処理方法の検討・接合力の印加方法の検討を行った。まず、ダイヤモンドカッターを用いた切断・ラッピングフィルムによる研磨などにより、抵抗値を60μΩまで改善することに成功した。さらに、機械的圧縮力の印加方法の改善により、抵抗値を5μΩ(電流値60A)まで低減させることに成功した。この値は、超伝導マグネットの分割化のために必要とされる性能とほぼ同程度であり、分割型マグネットの実現可能性を明らかにすることに成功した。 また、平成12年度整備した有限要素法解析コードを用いて、超伝導体中の磁場、温度場を連成させた数値解析を実施した。その結果、接合面での超伝導体テープ間のギャップの大きさは抵抗値にはほとんど影響しないことが明らかとなり、今後、さらに抵抗値を下げることが可能であることが示された。
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