平成14年度は、高温超伝導テープの断面の平滑化処理・実験装置の工夫等により、超伝導テープ単体の接合抵抗を昨年度得られた値の約半分の2μΩ(臨界電流の約90%の60アンペア通電時)にまで低減することに成功した。この値が実際のマグネットの接合部で実現できれば、十分に冷却可能な発熱量となる。さらに、高温超伝導テープを複数重ねた状態でのバット法による接合試験を実施し、ケーブル単位での直接接合の可能性を評価した。その結果、3層を重ねた状態で、当初、約100μΩであった抵抗値を、約7μΩまで低減することに成功しており、一層当たりでは約20μΩという性能が得られている。ただし、単層の場合の最高性能の場合と比較すると性能がやや劣化しており、電流分布の偏り、超伝導テープの性能劣化と除熱性能劣化が原因の可能性であることが明らかになった、また、接合断面荷重を制御した実験により、応力値として約100MPaが必要であることが明らかとなった。この値は、マグネットが作る磁場と電流により発生する電磁力を利用することにより、容易に得られる圧縮力であることが計算より示された。 一方、単層の場合にも輸送電流に対して接合部の抵抗値が緩やかに増加する傾向(60アンペア通電時の抵抗値が10アンペア通電時の約5%増し)があり、ジュール発熱あるいは磁束流による発熱による温度上昇が原因と考えられ、数値解析による評価を行ったが、数値解析結果にはこの抵抗の温度依存性が見られず、今後の研究課題となった。 以上のように、高温超伝導超伝導ケーブルの直接接合方法のマグネットへの適用性についての基礎的知見が得られ、今後、接合面の形状の最適化と製作方法の検討を進めることにより、十分実用化が可能であるとの結論が得られた。
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