研究課題/領域番号 |
12680488
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
波多野 雄治 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 助教授 (80218487)
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研究分担者 |
松山 政夫 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 教授 (90135004)
渡辺 国昭 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 教授 (50001326)
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キーワード | トリチウム / ゲッター / 核融合 / 水素吸蔵合金 / 表面改質 / ジルコニウム / ニッケル / パラジウム |
研究概要 |
核融合炉では、炉心から燃料粒子である重水素とトリチウムならびに不純物であるヘリウムや炭化水素、水等の混合ガスが排出される。この混合ガス系からトリチウムを安全に抽出し、再利用することが炉の安全性や経済性の観点から極めて重要である。室温付近で低い平衡水素分圧を持つ水素吸蔵合金にトリチウムおよび重水素を選択的に吸収させれば安全にトリチウムを回収できるが、このとき混合ガス中の酸素や炭素の被毒効果による水素吸蔵合金の失活が問題となる。そこで本研究では、ZrNi合金表面をPdで被覆し、対被毒特性を調べた。 まず、ZrNi粉末表面に無電解めっき法によりPd被膜を形成させ、その後Pd被膜とZrNiとの密着性を高めるため高真空中で1073Kに30分間加熱した。加熱後の試料をX線回折法により分析したところ、粉末表面にPdZrが形成されていることがわかった。 並列に設置した2つのカラム内にPdめっきした試料(Pd/ZrNi)としていない試料(ZrNi)をそれぞれ充填し、不純物としてN_2、H_2O、CH_4、O_2等を含むArガス気流に373〜573Kで曝した。このとき、Ar気流中に重水素ガスをパルス状に添加し、その吸収量の減少を測定することにより失活挙動を調べた。設備備品として購入したマススペクトル分析装置でAr中の不純物組成ならびにD_2の純度を測定した。373KではPd/ZrNiの方がやや長い寿命を示したものの、どちらの試料も1時間程度で失活した。しかし、473KではPd/ZrNiはZrNiに比べ約2倍の寿命を示し、寿命の差は温度の上昇と共に増大した。573KではZrNiが約3時間で失活したのに対し、Pd/ZrNiはほとんど活性が低下せず、Pdめっきが対被毒特性向上に有効であることが見出された。今後は対被毒特性が向上した機構を詳細に調べると共に、より低温で活性が維持できる表面修飾法を探索する。
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