トカマクやヘリカル系などのトーラスプラズマにおいて、アルファー粒子のような高エネルギー粒子とプラズマのMHD特性との関係を調べることは、制御熱核融合炉を実現するために不可欠であり、重要な意義を持っている。本研究では非軸対称トーラスプラズマにおける三次元MHD平衡・安定性と高エネルギー粒子との相互作用に関して次のような理論・数値的解析を行った。 (1)LHD装置のアルヴェン連続固有スペクトルギャップ内に存在する離散固有モードをステラレータ近似に基づくグローバルコードで調べ、TAEモードのモード構造や周波数が有限ベータによる回転変換分布の変化によって大きく変化することを明らかにした。現在、得られたTAEモードに対する高エネルギー粒子の影響を摂動論的に調べている。 (2)近年問題となっているヘリカル系に特有のバルーニングモードに対して、WKB近似による局所解析と三次元MHD安定性解析コードCAS3Dによる大域的解析の詳細な比較検討を行い、近似の妥当性に問題が指摘されていた局所解析の有用性を始めて示した。この結果を踏まえて、このバルーニングモードに運動論的効果がどのように影響するかを評価するため、運動論的バルーニングモード方程式を用いた局所解析を行い、有限ラーマ半径効果が短波長モードを強く安定化すること、圧縮性効果が長波長モードの安定化に有効であることを示した。 (3)運動論的効果を粒子の観点から評価することを最終的な目標として、モンテカルロコードの開発を始めた。まず最初のステップとしてヘリカル系装置ヘリオトロンJにおける新古典輸送を調べている。現段階では、定量的議論は難しいが、以前の解析で示された磁場のバンピー成分と径電場による新古典輸送の抑制をモンテカルロコードで確認した。 (4)リップルトカマクの解析では、コイル磁場計算コードKMAGと三次元MHD平衡解析コードVMECを用いて、トロイダルコイルの離散性を考慮した自由境界平衡を求め、磁場リップルの有限ベータ依存性を調べるとともに、それが高エネルギー粒子のリップル損失に及ぼす影響を明らかにした。
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