研究概要 |
固体酸化物型燃料電池には未燃の燃料が必要なのに対して,クローズドサイクルMHD発電機は高温の熱があれば運転できるので,システムの構成は,まず燃料電池で発電した後,その未燃分の燃料を燃焼させて発生した熱を電池内部での発熱とともにMHD発電サイクルで回収・発電するというものになる.まず,燃料電池の酸化剤として通常通り空気を用いる場合について検討を行った.この場合,1000℃程度の燃料電池の排燃料ガスを排酸化剤ガスで燃焼させてMHD発電機の最適入口温度である2000℃程度にまで昇温するためには,通常は85%程度の燃料電池の燃料利用率を55%程度にまで下げる必要があることがわかった.さらに燃焼ガスの持つ熱のうち1000℃以下の部分は燃料電池入力ガスの予熱のために必要なので,MHD側の構成はMHD単独サイクルが適していることがわかった.しかし,本複合発電システムでは,高温の熱の有効利用には成功しているが,燃料電池の燃料利用率が低すぎ,その効率が低いので,総合発電効率は最高でもHHV基準で65%程度にとどまり従来から提案されている燃料電池・ガスタービン複合発電システムと大差無いことがわかった.そこで,本研究では,酸化剤として空気ではなく純酸素を用い,MHD側にMHD・ガスタービンサイクルを採用することを提案した.そうすることにより,燃料電池の燃料利用率が85%と高くても,燃焼ガスの温度をMHD発電機の最適入口温度である2000℃程度にまで昇温することができ,熱バランスの検討を行った結果,HHV基準で約72%という非常に高い総合発電効率が実現できることがわかった.なお,純酸素燃焼の場合には,酸素製造にコストがかかるが,排出される炭酸ガスの液化回収を容易に行うことができるという利点があるため,提案した複合発電システムは,地球温暖化防止対策としても非常に有効で,検討する価値があるあると考えられる.
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