研究概要 |
平成12年度の研究により,酸化剤として純酸素を用い,MHD側にMHD・ガスタービンサイクルを採用することにより,HHV基準で70%以上という非常に高いサイクル効率が得られることが明らかになっている.このシステムの場合,酸素製造にかなりのエネルギーが必要であるという欠点があるが,排ガス中に窒素が含まれないので,冷却により水蒸気を凝縮除去した後の排ガスはほぼ炭酸ガスのみとなり,炭酸ガスの液化回収が簡単に行えるという長所がある.そこで,本年度は,純酸素を酸化剤とし,トッピングサイクルとして固体酸化物形燃料電池を,一方ボトミングサイクルとしてクローズドサイクルMHD・希ガスタービンサイクルを用いる複合発電システムを,炭酸ガス液化回収式の高効率化石燃料発電システムとして提案し,天然ガス(メタン)を燃料とする場合についてその性能に関する検討を行った.その結果,システムの各コンポーネントの開発目標を考慮して各種パラメータの値を与えた場合,本複合発電システムの総合発電効率は,酸素製造と炭酸ガス液化に必要な電力および動力を考慮しなければメタンのHHV基準で71.24%(LHV基準では79.06%),酸素製造電力のみを考慮すればHHV基準で65.08%(LHV基準では72.22%),両方を考慮してもHHV基準で63.24%(LHV基準では70.18%)に達することがわかった.また,固体酸化物形燃料電池とクローズドサイクルMHD発電機はともに最適動作温度領域内での運転となっており,両コンポーネントの組み合わせは最適であることがわかった.これらの結果より,本複合発電システムが,炭酸ガスの液化回収と超高効率の両方を同時に実現可能な優れた発電システムであり,将来の実用化を目指して研究・開発を進めていく価値が十分あるものであることを確認できた.さらに,燃料電池のセル電圧や燃料利用率等がシステムの動作状態に及ぼす影響についても検討を行った.
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