研究課題/領域番号 |
12680502
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山川 浩二 愛媛大学, 工学部, 教授 (50029493)
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研究分担者 |
岩瀬 彰宏 日本原子力研究所, 物質科学部, 主任研究員
矢野 忠 愛媛大学, 工学部, 教授 (50036240)
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キーワード | 水素 / 多層膜 / 水素透過 / 拡散 / 表面状態 |
研究概要 |
前年度は金属板中の水素の透過能を低圧力領域、中間温度領域で測定する超高真空系め装置を作成し、この装置が純Pd、Fe、Ni薄板の水素の透過能を測定するのに有効であることを示した。 今年度はPd-Fe系、Pd-Ni系の多層膜についての水素の透過実験を行った。両多層膜の水素透過量はFe、Niの水素透過能がPdのそれと比べて格段に少ないためPd基板のみの試料と比べて非常に少ない。前年度の研究で明らかになったPd基板表面の汚染を除去する清浄化処理を行えばPd-Fe系の多層膜についても水素透過量のアレニュウス・プロットは直線を示すようになった。この直線の傾きから求められる水素の透過エネルギーはFe膜のトータルの厚さの増加と共に、Fe薄板のそれに近づく。一方、Pd-Ni系の多層膜では水素透過量のアレニュウス・プロットは直線を示さなかった。勿論、水素の圧力と透過量のlog-logプロットはPd-Fe系、Pd-Ni系両多層膜について、ジーバーツ則が成立するようになった。水素の透過量はPd-Fe系多層膜についてはPdとFeのバルク値から期待される値よりも小さい値を示した。すなわち、多層膜の境界層は水素透過の抵抗に明らかになっている。一方、Pd-Ni系の多層膜については、まだ測定試料数が少ないけれども、水素透過量はPdとNiのバルク値から期待される値よりも常に大きい値を示した。特にそれは低温で顕著であった。この余分の水素透過量はアレニュウス・プロットすると直線状になる。しかもこの量は現在のところ原因はまだ解明されていないがNi膜の厚さに比例している。この状況はPdやNiでの水素濃度、水素の拡散係数のバルク値からのずれによっては説明できない。
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