研究課題/領域番号 |
12680507
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
吉野 和夫 信州大学, 理学部, 助教授 (70143964)
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研究分担者 |
平塚 純一 川崎医学大学, 放射線治療部, 助教授 (30192298)
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キーワード | 中性子補足療法(NCT) / 悪性黒色腫(メラノーマ) / p-ボロノフェニルアラニン / m-ボロノフェニルアラニン / ^<11>B-NMR |
研究概要 |
中性子捕捉療法は腫瘍部に選択的に^<10>Bを集積させ、中性子を照射し、生じる核分裂エネルギーで腫瘍を破壊する治療法である。中性子捕捉療法に使用されているp-ボロノフェニルアラニン(p-BPA)は悪性黒色腫に選択的にホウ素を集積させる。構造異性体のm-ボロノフェニルアラニン(m-BPA)もホウ素を悪性黒色腫に集積させることがわかっているが、その集積量はp-BPAの方がm-BPAより多い。その原因としてホウ素がp-位についたものとm-位についたもので、悪性黒色腫に多量に存在するメラニンモノマーと錯形成しやすさに差があり、p-BPAよりm-BPA錯体の方がより少なく錯体が存在するのではないかとの考えから、p-BPAとm-BPAのL-ドーパ錯体の錯形成の差を^<11>B-NMRで調べた。その結果、m-BPAの方がp-BPAより錯形成しにくいことが明らかになった。そのため、メラニン前駆体にトラップされる量はp-BPAの方がより多くなると考えられる。 また、現在p-BPAの溶解度が低いことを単糖類と錯形成させることによって解決している。これは糖錯体の溶解度の大きいことを利用してp-BPAをより多く投与させているわけである。m-BPAも錯体化するかどうか^<11>B-NMRで調べてみたところglucose<mannose<galactose<mannitol<fructoseの順で錯形成が大きくなっていき、フルクトース錯体は一番錯形成しやすいことが判明した。この錯形成の大きさの順は、p-BPAの場合と同じであった。従ってm-BPAもp-BPAと同様にフルクトースを糖として用いることがよいと考えられる。
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