研究概要 |
宇宙空間飛翔体乗務員の個人被ばく線量計測や核反応粒子識別測定には、積算型測定器である固体飛跡検出器がその特徴を発揮する。これらへの応用のためには荷電粒子に対する正確な基礎データ収集が不可欠であるが、エッチング及び評価条件が研究者によって異なっているという問題がある。本研究では、神戸商船大学とフランシュコンテ大学(UFC,フランス)及びドレスデン工科大学(DUT,ドイツ)の3チーム間の国際比較実験を通して、国際的にも信頼性のあるデータベースを確立することを目的としている。 平成13年度までに、水素同位体のデータ整理からリチウムイオンまでの実験を終了した。次の原子番号であるベリリウムとホウ素について検討・交渉したが、加速器イオン源の安全取扱い上困難であるため断念し、この結果炭素イオンにターゲットを絞った。入射エネルギーは、昨年行ったリチウムイオンと飛程が同程度になるように、22.5MeVと決定した。照射したサンプルを3チームに配布し、各チームで処理・データ解析を行った。 この結果、炭素イオンのデータについては、3チーム間の評価値のずれがリチウムイオンより大きくなる傾向にあった。炭素イオンはリチウムイオンと比べてトラックエッチ率の変化が一層激しいため、特に飛跡終端での誤差が大きくなったためだと考えられる。このため、我々のチームでは、エッチング間隔を密に取るとともに、我々が開発した多段階エッチング法(トラック追跡法)も適用した。これらと他チームデータとの比較から、評価したレスポンスの誤差はエッチング間隔の選定が重要なプァクターとなっていることを明らかにした。これらの成果は2002年秋の国際会議において報告した。
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