研究概要 |
砂漠化を始めとする乾燥地の環境変動をリモートセンシング技術を用いて研究するためには、その植生を精度よく評価することが重要である。本研究では衛星による乾燥地周辺の植生調査を目的として、衛星データから求めた植生指数と植生の物理量との相関を解析した。主な調査項目は衛星から観測が可能と思われる植生被覆率、バイオマス、LAI(葉面積指数)などで、本研究ではこれらの植物の物理量をまとめて植生変数という。本研究では草地の分光反射率の実測値から得られた植生指数と植生の物理量との回帰式を衛星による乾燥地周辺の植生調査を目的として、衛星データから求めた植生指数と植生の物理量との相関解析に応用した。テストサイトはアリゾナのFlagstaff周辺である。 その結果、植生指数と植生の物理量、特にドライバイオマス、LAIのなどについては高い相関が得られた。しかし植生被覆率についてはそれらよりやや劣る結果が示された。この理由は植生指数の計算式には植生のバイオマス(3次元情報)に強く応答する近赤外の項があるため、2次元情報としての植生被覆率と植生指数の相関は低くなる。また半経験式(Baret and Guyot,1991)を用いてLAIの推定を行う場合、その推定値は実測値よりも低く評価する傾向があることが分かった。本研究で開発したアルゴリズムにより人工衛星データから植生モニタリングを行うことにより、砂漠化や植生環境の調査に利用することができる。今後,植生指数からバイオマス、LAI導出のためのパラメーターとの関係を調べ,乾燥地周辺のさらなる研究のためのアルゴリズムとする必要がある。
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