研究概要 |
植生情報の評価手段として植生指数が広く利用されている。植生指数は植生のバイオマス,被覆率,水分量,クロロフィル量などの総合的な情報を包括した反射率から導出したものである。しかし植生指数からバイオマス,植生被覆率を抽出することは簡単ではない。平成12年度,13年度では人工衛星データを利用する様々な植生指数アルゴリズムを検討し,それらの中から乾燥・半乾燥地に最適な植生指数からLAI,バイオマス,植生被覆率,クロロフィル量などの植生量を推定できるアルゴリズムにより,それらの分布図を作成する。このアルゴリズムは,主として分光放射計を使用した野外観測によって得られた草地の反射率データから得られた植生指数と,その植生の実測物理量との回帰式から導出したものである。平成14年度は13年度年に引き統き,衛星データ,特に最新の高解像度データASTERを利用してそれらの物理量を推定し,タクリマカン沙漠南部のホータンオアシス周辺の現地検証調査の結果と併せてアルゴリズムを検証した。平成12年度からの研究成果によって開発された衛星データを利用した乾燥・半乾燥地の植生環境評価アルゴリズムの検証が14年度の研究開発の主題であり,13年度に引き続いてASTERデータを使って行った。13年度の結果を受けて,植生状況の把握,特に植生被覆率の実測を目的としてタクリマカン沙漠南部のオアシス周辺の現地調査を行った。調査では耕作地の作物の種類,自生する植物の種類,及びそれらの分布と、いくつかの地域の土壌(砂)の分光反射率を観測すると共に,それらの情報からアルゴリズムの検証を行った。植生指数の計算にはOPVI(最適植生指数)のアルゴリズムを用いた。その結果、乾燥・半乾燥地の植生環境を推定するにはOPVIが最適であると結論した。タクリマカン沙漠南部のオアシス周辺の衛星データの解析結果と現地調査の結果から、砂漠化の進行している地域と、逆に植生地域が拡大して地域を確認した。これらはいずれも人間活動、特に不適切な灌漑による塩害化土壌による荒廃化と農地の拡大によることが原因とみなされる。
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