研究概要 |
平成13年度はフルボ酸およびフミン酸共存系でのモデル土壌粒子の錯平衡解析を行った。また、負に帯電した固体粒子表面へのフルボ酸およびフミン酸の吸着平衡のモデル化、更にこの系での重金属イオン錯平衡解析を行った。その研究実績は以下のとおりである。 1)錯平衡測定 a)自動滴定システムの改良:既制作の自動滴定システムを改良し、pHと遊離金属イオン濃度(pM)の同時測定を可能にした。更に、この際の平衡電位達成までの過程について調べた。この結果、フミン酸系では平衡達成に長時間要すること、およびフルボ酸系では比較的短時間に平衡が達成されることが明らかとなった。フミン酸の疎水的骨格構造のために会合性が著しいことがその原因であると推測された。 b)試料の高分子電質性および官能基分布の不均一性の評価:M^<Z+>(Ag^+,Cu^<2+>,Cd^<2+>,Pb^<2+>)/フルボ酸およびフミン酸固定silica系の錯平衡をGibbs-Donnanモデルにより解析し、微視的結合定数と官能基分布の不均一性を評価した。 2)陽イオン交換体/フルボ酸およびフミン酸混合系の重金属イオンの溶出挙動:粘土鉱物・フミン酸複合体を一種の陽イオン交換体とみなして、種々の陽イオン交換体カラムによる重金属イオンの溶離挙動をフルボ酸およびフミン酸の共存下で調べた。水/フルボ酸・フミン酸/陽イオン交換体系の重金属イオンの溶出挙動を追跡した。フミン酸、フルボ酸単独系の錯平衡、および、フミシ酸・フルボ酸の固相への分配平衡の知見から重金属イオンの移送挙動を予測できることが示された。
|