研究概要 |
植物プランクトンは様々な多数の色素を保有しているが,種類により独特な色素を持っている.この固有色素は高速液体クロマトグラフ(HPLC)により個別に分析が可能で,この分析機を用いて北太平洋亜寒帯海域における植物プランクトンの分布の季節変化を検討することを目的に、円石藻類の親潮域における分布の研究を行った.その結果、出現種はEmiliania huxleyi var. huxleyi(51.6%)、Calciopappus rigidus(6.2%)、Zygosphaera amoene(5.2%)が多く出現し、合計28種が確認された。円石藻類は季節の進行に伴って分布深度が深くなり、そして出現数が増加し、8月下旬にピークに達した。このときの最大出現水深は30mで、水温10℃、塩分32.8psuであった。種組成の約50%はEmiliania huxleyi var. huxleyiであった。また10月になると出現数が減少している。西部亜寒帯親潮域では、円石藻の一部の種を除いた多くの円石藻は水温の高い夏季に大増殖を起こし、そして秋季になると水温と塩分の低下とともに減少していくと考えられる。現在までに栄養塩の分析は終わってないが、栄養塩濃度の季節変化と炭酸カルシウムを主成分とする円石藻類の分布の季節変化を今後対応させたい。 現場観測により得られた試料のHPLC分析はほぼすべて終了している.この分析結果と植物プランクトン分布の季節変化の対応関係を今後明らかにする。
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