昨年(平成12年度)に引き続き、千葉県印旛沼水系の湧水の硝酸イオンを中心とした化学成分含量を求めた。昨年度との違いの主なものは次の通りである。 1)調査した湧水の数を増やしたこと。昨年度は24ケ所であったが、今年度(平成13年度)は5ケ所増やして29ケ所とした。 2)湧水の湧出地点周辺の地理的・地形的環境を調査したこと。これらの結果と標高などから、その湧水の涵養域(集水域)の特定を試みた。 3)昨年度できなかった湧水のN-15同位体組成比(δ^<15>N)を求めたこと。今年度新たに7ケ所の湧水試料についてδ^<15>N値を測定した。 4)比較的容易に涵養域の特定ができる2例を用いて、硝酸態窒素の起源と付近の環境との関連について明らかにできた。 2年間を通じて硝酸態窒素濃度の最高値は61.7ppm(試料番号311、富里町立沢、2000年6月採水)であった。29試料のうち14試料が、水道基準値の10ppm(ほぼ近いものも含めて)を超えていた。このように印旛沼周辺の湧水の約半数(48%)が、硝酸態窒素汚染を被っている実体が明らかとなった。 δ^<15>N値を用いて、比較的涵養域の特定が容易であった2け所(201と311)の湧水について、窒素の起源と周辺環境との関係について考察した。前者について、窒素の起源は主として生活排水、後者については化学肥料と有機肥料であると結論できた。
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