研究課題/領域番号 |
12680537
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
古川 晶雄 国立極地研究所, 研究系, 助手 (70261120)
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研究分担者 |
亀田 貴雄 北見工業大学, 工学部, 講師 (00233974)
河野 美香 日本学術振興会, 特別研究員
橋田 元 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリング研究センター, 助手 (00280537)
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キーワード | 気候・環境変動 / 堆積環境 / 極域氷床 / 雪氷コア / 物理的手法 / 化学的手法 / フィルン / 温室効果ガス |
研究概要 |
解析に用いた雪氷コアは、南極ドームふじ南方内陸コア(1997年採取、56m深)とH72沿岸コア(1998年、76m)の2本である。雪氷コア解析として基本解析を行った。基本解析とは、南極や北極などで採取した雪氷コアに対して共通に行う項目で、層位、密度、通気度、固体電気伝導度、酸素同位体比、化学主成分解析、放射性同位体解析(トリチウム)を行った。2年次には研究解析を行い、観測地域に特徴的な成分の検出や高時間分解能解析、さらに基本解析結果から明らかにされた情報を基にした詳細な研究を行う予定である。 基本解析の主目的であるコアの年代決定は、トリチウム及び固体電気伝導度解析により行った。特に沿岸コアに関しては固体電気伝導度のシグナルに季節変動が明瞭に現れていて、高時間分解能の降水量・環境因子変動の解明が期待できる。雪氷コアの層位から堆積環境の復元を行うことに関しては、プログレッシブ式のデジタルビデオカメラで撮影した映像を解析することで、今まで離散的で主観的な可視情報であった層位を、客観的な連続した物理情報として扱うことができるようになった。これにより物理的手法の情報と化学的手法の情報が融合でき、興味ある解析が期待できる。H72地点では、フィルン中の空気を採取して温室効果ガスなどの成分が測定されている。フィルンは通気性はあるが、重力と拡散効果によりフィルンの空気に含まれる成分は一様ではなく、深さ方向に現在から過去の空気の混合体となる。氷化が進むと通気性がなくなるが、この時に封じ込められた空気の経歴を明らかにすることは、雪氷コアから過去の大気状態を復元する上で必要不可欠であり、そのための詳細な通気度測定も行った。さらにフィルンから氷に移り変わる深さで封じ込められている空気の分析を行う予定である。
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