研究課題/領域番号 |
12680538
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩熊 敏夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60124335)
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研究分担者 |
藏崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (80161727)
田中 教幸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (10261348)
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キーワード | 熱帯泥炭湿地 / 有害汚染物質 / 重金属 / 三日月湖 / 水生生物食物網 / 同位体水文学 / 生態影響評価 / 健康影響評価 |
研究概要 |
生態系の構造および有害汚染物質の生物への移行・濃縮過程の解明 (1)熱帯水域の食物網の解明: 西ジャワチビノンの湖にバッグ型の隔離水界を設置し、プランクトン食魚と浮漂植物のサンショウモを投入して食物網の解析を行った。水生植物が水面を覆った場合でも動物プランクトンの現存量に大きな変化は見られなかった。魚の投入の影響は大型のワムシ類に一部見られたものの顕著な影響は見られなかった。魚が、動物プランクトンよりも大型水生植物のユスリカ幼虫を捕食していたため、と考えられた。バッグへ湖の底泥を加えると動物プランクトン現存量が顕著に増加した。 カリマンタンの三日月湖における浮遊ユスリカ幼虫の年平均密度はで1970個体m^<-2>で雨期の2〜5月から乾期の終わりの9〜10月にかけて密度が減少した。この期間に水温躍層が発達し底層の溶存酸素濃度が減少しており,これが個体数の減少に関与している可能性が高い。 (2)西ジャワの河川・湖沼の汚染: 西ジャワのナングン市郊外の小規模金精錬に伴う水銀汚染河川およびボゴール市内河川、チビノン市河川・湖沼で河川水、底質、底生動物、藻類、魚類を採取し、総水銀およびメチル水銀濃度を分析した。水銀汚染の2河川では高い水銀濃度が水生昆虫や魚類から検出された。水生昆虫では2000〜49000μg/kgの総水銀が検出され、魚類からは230〜2650μg/kgの総水銀が検出された。これら魚類のメチル水銀濃度は総水銀濃度の41〜76%であった。この2河川からはアルキルフェノールは検出されなかった。一方ボゴール市内の2河川とチビノンの湖沼では水銀汚染は低く、魚類の総水銀濃度は20〜130μg/kgであった。しかし50〜80μg/Lのアルキルフェノール類が検出された。この物質群には強い内分泌撹乱作用を示すノニルフェノールが含まれている。そこでほぼ同程度のノニルフェノールをラット培養細胞に暴露したところ細胞毒性は見られなかったが無血清処理によりアポトーシスを促進することが分かった。
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