研究課題/領域番号 |
12680538
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩熊 敏夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60124335)
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研究分担者 |
藏崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (80161727)
田中 教幸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (10261348)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 熱帯泥炭湿地 / 有害汚染物質 / 重金属 / 三日月湖 / 水生生物食物網 / 同位体水文学 / 生体影響評価 / 健康影響評価 |
研究概要 |
本研究は、熱帯域インドネシアの環境汚染の実態の解明、汚染物質の生態系・健康影響の実態を把握することを目的とした。カリマンタンにおける調査から、動物プランクトン群集や底生動物群集の多様性維持に水位変動が大きく影響していることが明らかになった。またユスリカの生産量が魚類の生産量維持に重要な役割を果たしていることが推測された。隔離水界を利用したプランクトン食魚と浮漂性水生植物の影響実験からは、沖帯の動物プランクトン以外にユスリカや植物根などの食物経路が存在が示された。 カリマンタンの泥炭地を水田に開発した水路では高硫酸イオン濃度によりpHが低く、0.29mg/Lの水銀が検出された。西ジャワの小規模金精錬に伴う水銀汚染河川では小規模金精錬場の下流の底質からは、上流側の底質の80倍高い84100ng/gの総水銀が検出された。水銀汚染河川の水生昆虫からは2000〜49000ng/g湿重の高濃度の総水銀が検出された。魚類からは230〜2650ng/g湿重、エビからは1370〜4550ng/g湿重の総水銀が検出された。魚類のメチル水銀濃度は総水銀濃度の41〜76%であった。この2河川からはアルキルフェノールは検出されなかった。一方ボゴール市内の2河川とチビノンの湖沼では水銀汚染は低く、魚類の総水銀濃度は20〜130μg/kgであった。しかし50〜80μg/Lのアルキルフェノール類が検出された。この物質群には強い内分泌撹乱作用を示すノニルフェノールが含まれている。そこでほぼ同程度のノニルフェノールをラット培養細胞に暴露したところ細胞毒性は見られなかったが無血清処理によりアポトーシスを促進することが分かった。 西ジャワ河川の水銀の汚染レベルはカリマンタンよりも高く魚類やエビ類の水銀蓄積濃度も高かったため、住民を対象とした健康調査が必要になろう。河川の食物網の経路についてはまだ不明な点が多く環境中の水銀のメチル化の過程と併せて今後の課題である。
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