研究概要 |
木曽三川、特に長良川とその支流において内分泌攪乱化学物質による汚染状況を(1)河川水中のestrogen recepterαに結合能のある物質の量をBeacon^【○!R】2000による蛍光偏光の差から、(2)魚の血中ビテロジェニン(Vg)濃度をenzyme-linked immunosorbent assayで測定し、以下の結論を得た。 1)Beacon^【○!R】2000による測定値であるmp値は女性ホルモン様物質が多いほど低くなるが、各地点におけるmp値は(河口より)6km地点;127.5、15km地点;121.7、30km地点;95.2、34km地点;54.5となり(10000倍に濃縮したサンプル)、木曽川・揖斐川の各地点と比較しても長良川34km地点で特に高値を示した。次に、34km地点に注ぐ支流を調査したところ多くの地点でかなり低いmp値をとり、女性ホルモン換算値が0.0005M以上存在することになる。これより、34km地点での長良川の汚染は、生活排水を含む支流よりの流入であると結論づけられた。 2)長良川上流に生息する雄コイの血中Vg濃度は、平均122.5ng/mL(n=8)、下流のそれは157ng/mL(n=10)で、有意な差は認められなかったものの下流で高値を示した。コイは、特定場所での生息が保証されないため、河川水でメダカを飼育しVg濃度を測定した。長良川上流・下流の河川水中で10日間程飼育したところVg濃度はそれぞれ10.6ng/mL,17.8ng/mLとなりコイと同様の傾向を得た。これらの結果から、木曽三川下流部では容易に女性ホルモン様物質を見いだせるが、魚類のメス化を結論づけるほどの汚染状況にはないと考えられた。 3)ハゼの血中Vg濃度が検出限界以下であったことから、海域への蓄積はないものと考えた。
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