研究課題/領域番号 |
12680547
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鈴木 啓司 長崎大学, 薬学部, 助手 (00196809)
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研究分担者 |
渡邉 正己 長崎大学, 薬学部, 教授 (20111768)
児玉 靖司 長崎大学, 薬学部, 助教授 (00195744)
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キーワード | BRCA1 / ATM / 放射線 / wortmannin |
研究概要 |
今年度は以下の知見を新たに得た。 1.BRCA1蛋白質のリン酸化による電機泳動度の変化は照射後15分から観察され3時間後には最大になることがわかった。照射直後のリン酸化はATMおよびATRの阻害剤であるWortmanninによって抑制され、ATM機能を欠損するAT細胞では見られないことから、BRCA1蛋白質のリン酸化はATM依存的経路により制御されていることが確認された。 2.放射線照射後にBRCA1蛋白質は核内で斑点状の存在形態(フォーカス形成)を示す。BRCA1フォーカスはATの細胞で見られないこと、あるいはWortmannin処理によって抑制されることから、BRCA1のリン酸化がBRCA1蛋白質のフォーカス形成に必要であることが示された。 3.蛍光免疫染色法を用いた検討から、放射線照射後にフォーカスを形成したBRCA1蛋白質はDNA組換え修復に関与するRAD50/MRE11/NBS1複合体と共存することが示唆された。さらに、BRCA1蛋白質を欠くヒト乳癌細胞HCC1937では、RAD50/MRE11/NBS1腹合体のフォーカスは検出されるものの、その局在性に異常が認められることから、RAD50/MRE11/NBS1複合体のフォーカス形成にはBRCA1蛋白質の存在が必要とされることが明らかになった。さらに、HCC1937細胞では、放射線照射後のp53蛋白質のリン酸化が正常細胞の場合と比較して弱く、ATM蛋白質によってリン酸化されるBRCA1蛋白質は、ATM蛋白質によるp53蛋白質のリン酸化にも関与していることが示唆された。
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