研究概要 |
PCB及びPBrBの(メチルスルホン)MeSO_2誘導体の内分泌系に対する毒性を評価し、その作用メカニズムを明らかにする目的で本研究を行った。 1.3-MeSO_2-2,2',3',4',5-pentachlorobiphenyl(3-MeSO_2-2,2',3',4',5-pentaCB)、3-MeSO_2-2,2',3',4',5,6-hexaCB及び3-MeSO_2-2,2',3',4',5,5'-hexaCB(各40μmol/kg)を幼若雌性ラットに1日1回3日間投与した時、子宮重量(湿重量及び子宮腔内の内液を除去した重量)は変化しなかった。この結果から、これらのMeSO_2-PCB_sはエストロゲンアゴニスト作用を持たないか、その作用は弱いことが示唆された。 2.2,2',4',5-tetrabromobiphenyl(TBrB)、3-及び4-MeSO_2-TBrBs(各20μmol/kg)を雄性成熟ラットに1日1回4日間投与した時、UGT2B1活性は有意に増加した。3-MeSO_2-TBrB投与により、T_4-UDP-GT活性は有意に増加したが、血清中total T_4濃度は変化しなかった。一方、TBrB投与により、T_4-UDP-GT活性は変化しなかったが、血清中total T_4濃度は有意に低下した。4-MeSO_2-TBrB投与により、それらの変化は見られなかった。これらの結果から、3-MeSO_2-TBrBは肝UGT2B1、UGT1A1/6を誘導すること、4-MeSO_2-TBrB及びTBrBは肝UGT1A1/6を誘導することが明らかになった。また、3-及び4-MeSO_2-TBrBsは血清中total T_4濃度の低下作用を持たないか、その作用は弱いことが示唆された。一方、TBrBは血清中total T_4濃度の低下作用を有することが示された。さらに、この低下は肝のT_4-UDP-GT活性の増加では説明が困難であることが示唆された。
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